- 自衛隊パイロットになりたいけど、どの採用試験を受けたらいいかわからない
- 航空学生、幹部候補生(飛行)の試験対策を知りたい
- 航空身体検査の攻略法を知りたい
自衛隊パイロットの試験を受けてみようと思ったものの、パンフレットや募集ホームページを見ても、なんだかよくわかりませんよね。
この記事では、自衛隊パイロットになる方法、採用区分の選び方、各試験の対策方法を解説します。
この記事を読めば、自衛隊パイロットになるためにどんな試験対策をするべきか、あなたにもわかるようになります。
ココだけの情報が満載です!
自衛隊パイロットの採用試験や、自衛隊パイロットの任務まで関わってきた私が、15年かけて培ったノウハウを凝縮しました。
本気で自衛隊パイロットを目指す方は、必ず最後まで読んでください。
航空身体検査の攻略法を今すぐ知りたい人はこちらからどうぞ。
自衛隊パイロットになるには
陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊それぞれに航空機がありますので、陸海空全てでパイロットを採用・選抜・養成しています。
以下では、戦闘機や輸送機など、みなさんが最もイメージしやすい「航空自衛隊」のパイロットをベースに解説します。
航空自衛隊パイロットになる方法
航空自衛隊パイロットになるには、以下の方法しかありません。
- 航空学生
- 防衛大学校学生
- 幹部候補生(飛行)
それぞれの特徴は以下のようになっています。
航空学生 | 防衛大学校 | 幹部候補生 | |
受験年齢 | 18歳以上 24歳未満 | 18歳以上 21歳未満 | 22歳以上 26歳未満 |
パイロット の割合 | 全員 | ごく一部 | 全員 |
将来像 | パイロット として活躍 | 高級幹部 | 高級幹部 |
航空学生
最も基本となるパイロットのコースで、全員がパイロットになります。
高卒で受験して、パイロットとして第一線で長く活躍する方が多いです。
防衛大学校学生
基本的には高級幹部になるためのコースです。
在学中に、陸海空を選択し、さらにその中からパイロット要員が選抜されます。
よって、防衛大学校に入校しても、パイロットにはなれない可能性もあります。
第一線で活躍するというよりは、パイロットの経験を生かして高級幹部になっていきます。
幹部候補生(飛行)
こちらも基本的には高級幹部になるためのコースです。
幹部候補生学校への入校時点で、飛行要員であることは決まっておりますので、全員がパイロットになります。
大卒で就職活動の一環として自衛隊パイロットを目指し、ゆくゆくは高級幹部になっていきます。
絶対パイロットになりたいなら、航空学生一択
パイロットになりたい人が、どの採用種目を選ぶかの基準は、以下のようになります。
絶対パイロットになりたい | 航空学生 幹部候補生(飛行) |
パイロットとして 現場で活躍したい | 航空学生 |
高級幹部になりたい | 防衛大学校学生 幹部候補生(飛行) |
自衛隊パイロットが人生の目標である人は、航空学生がおすすめです。
高卒でパイロットのコースに入れて、将来的にも長くパイロットとして活躍できます。
戦闘機パイロットも航空学生出身が多いですよ。
試験内容と倍率
ここからは、自衛隊パイロット受験の中心となる航空学生の試験内容についてお話しします。
幹部候補生(飛行)と防衛大学校学生についても、パイロットになるためには同等の試験が行われます。
倍率について
試験内容 | 倍率 | |
1次試験 | 筆記試験 筆記式操縦適性検査 | 5~10倍 |
2次試験 | 口述試験 | 1.5~2倍 |
〃 | 航空身体検査 | 2倍 |
3次試験 | 操縦適性検査 | 1.5~2倍 |
航空学生の試験は上記のように3段階に分けて行われます。
各倍率は、私が独自に調査しました。
今後は若い世代を中心に人口が減少していきますので、受験者数も減り、倍率は下がる傾向になると思われます。
1次試験
「筆記試験」と「筆記式操縦適性検査」です。
内容は過去問を探せば出てくると思いますので割愛します。
この試験で求められていることは、学力ではなく、「問題処理能力」、「情報処理能力」です。
パイロットは、じっくり物事を考えるというよりも、素早く情報処理をし、決断をするということが仕事上大変重要になります。
よって、過去問を解きまくって対策をするのはもちろんですが、全問解ききるように特にスピードにこだわって練習を積むようにしてください。
- 過去問をやりこむ
- スピード重視で、全問解ききる練習を積む
2次試験
口述試験
いわゆる面接です。
面接は加点方式というよりは、減点方式で行うことが多いです。
受け答えの内容が素晴らしいかどうかというよりは、これから一緒に仕事をしていく仲間として、礼儀や立ち振る舞い、言動や論理展開などが正常か、見られています。
簡単に言えば、「変な人は落としたい」ということです。
国を守るパイロットになるんですから当然ですよね。
本や動画などで面接の基本動作を身に着け、何度も練習しておきましょう。
受け答えに関しては、基本的にみんなが答えそうな当たり障りのない内容を答えるようにしてください。
ユニークな発言をすると、試験官にネガティブな印象を残す可能性が高いです。
たとえ順位をつけるとしても、面接で大きな差がつくことはまずありません。
明らかな不合格者にならないように注意しましょう。
- 面接のマナーを練習しておく
- 受け答えは平凡な内容を答える
航空身体検査
鬼門となる可能性が高いのが、航空身体検査です。
健康診断ではなく「身体検査」なので、これもひとつの試験です。
とはいえ、体の状態や、病気・ケガの有無を確認するだけなので、何も対策しなくても合格になる人も多いです。
しかし、体に異常があれば、何度受験しても絶対に合格できない試験でもあります。
そして、私が航空身体検査の倍率を「2倍」としたのはどういうことか。
半分くらいの人数が、航空身体検査で合格できないということです。
半分の人が落ちる身体検査だと思って、しっかり取り組んでいましたか?
恐ろしいことに、2次試験で不合格になった場合、その理由は教えてもらえません。
2次試験不合格者は、面接で落ちたのか、航空身体検査で落ちたのかわかりません。
航空身体検査で落ちたと仮定しても、一体何の項目で不合格になったのかわかりません。
それに、航空身体検査は、難易度が変わることもありません。
他の試験は相対評価なので、受験者数が減れば倍率が下がり、あなたが合格する可能性は高まります。
しかし、航空身体検査は絶対的な基準がありますので、基準が変わらない限り、難易度も変わりません。
- 半分くらいの人数が合格できない
- 他の試験と違って、対策ができないものが多い
- 不合格となった場合も、理由を教えてもらえない
- 受験者数が減っても、倍率が下がらない
「何の対策もできない」、「神に祈るしかない」と思いますよね。
しかし、実際は、航空身体検査は対策ができます。
航空身体検査の対策については、次の記事を読んでみてください。
3次試験
「操縦適性検査」です。
数日間かけて、3回程度のフライトを実際に経験します。
T-7という航空機を操縦できます。
T-7の操縦が最終目標という受験者もいますよ。
この試験では「操縦がうまくできるかどうかのセンス」を見られている、と考える受験生が多いのではないでしょうか?
確かにそれは間違いではないと思います。
ほとんど初めてのフライトとはいえ、この試験で明らかに地面に向かって飛行したり、天地逆さまになって飛行すれば、たぶん不合格となるでしょう。
加えて、「同乗する試験官との受け答え」、「難題へ取り組む姿勢」、「成長度」を見られていると私は考えます。
「受け答え」 | 同業者目線での面接 |
「姿勢」 | 意欲的か、熱意があるか |
「成長度」 | 複数回のフライトで成長がみられるか |
- 「教えたい」「一緒に働きたい」と思われるように、試験官との会話は愛想よくハキハキと受け答える。
- 文句など言語道断。意欲的、挑戦的に取り組む。
- 少ないフライトの中でも、指導を自分の中に取り込み、しっかり成長をみせる。
フライトに集中するあまり、おかしな言動をしないように注意してくださいね。
まとめ
自衛隊パイロットになるための、採用区分の選び方、試験対策の方法を解説しました。
絶対パイロットになりたい | 航空学生 幹部候補生(飛行) |
パイロットとして 現場で活躍したい | 航空学生 |
高級幹部になりたい | 防衛大学校学生 幹部候補生(飛行) |
若いころから自衛隊パイロットになりたかった方は、航空学生がおすすめなのでした。
大卒や、現役自衛官、社会人などから自衛隊パイロットになる方は、幹部候補生(飛行)を選ぶことが多いと思います。
そして、長年採用試験やパイロットの人々に関わってきた私としては、各試験の位置づけは以下のように推測します。
- 2次試験は足切り(ふるいにかける)
- 1次試験は、座学の順位付け
- 3次試験は、実技の順位付け
各アドバイスを参考に試験に望めば、きっと合格率は上がると思います。
次の記事では、「何の対策もできない」、「神に祈るしかない」と思われがちな、航空身体検査の攻略法について、詳しく解説します。
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